優しい人ほど、自分を責めてしまう理由
ーその優しさは、あなたの弱さではないー
どうして自分はこんなに苦しいんだろう。
人を傷つけたわけでもない。
ひどいことをしてきたわけでもない。
むしろ、出来るだけ人や弱いものにも優しくあろうとしてきた。
誰かが困っていれば手を差し伸べたり、
なるべく場の空気を乱さないように気を遣ってきた。
それなのに、なぜか自分だけが苦しい。
そんなふうに感じたことはありませんか?
周りから見ると、
「あの人は本当に優しいよね」「いい人だよね」
と言われるような人ほど、
心の中では強い自己否定を抱えている。
どうしてこんなことが起きてしまうのでしょうか。
優しい人には、ある特徴があります。
それは、自分よりも他者を優先することが自然にできてしまう、ということです。
自分よりも、相手がどう感じるかを考える。
空気を読む。
誰かが困っていたら放っておけない。
これらは全て、とても大切で価値のある力であり、
あなたの素晴らしさです。
ただ、この優しさが続いていくと、少しずつある状態が生まれていきます。
それは、自分の気持ちを後回しにすることが当たり前になるという状態です。
本当はしんどい。本当は嫌だと思っている。
でも、それよりも、
「相手がどう思うか」「場がどうなるか」を優先してしまう。
そうやって過ごしているうちに、
だんだんと自分の感覚が分からなくなっていきます。
自分は今どう感じているのか。何がしたいのか。
どこまでが無理で、どこからが大丈夫なのか。
そういったことが曖昧になっていきます。
そして、気づいたときには、自分のことを後回しにすることが当たり前になっている。
この状態が続くと、次に起きることがあります。
それが”自分を責めるという思考”です。
例えば、少しうまく対応できなかったとき。
相手に気を遣いきれなかったとき。
そんな場面で、
「なんで自分はこんなこともできないんだろう」と
自分に向かって、厳しい言葉を投げてしまう。
本来であれば、完璧ではなくとも、十分やれているはずなのに、
「もっと出来たはずだ」「まだまだ足りない」
と感じてしまう。
これは、優しさが強い人ほど起きやすいことです。
なぜでしょうか。
それは、優しい人ほど、自分の中の基準が高くなりやすいからです。
「ちゃんとしなければならない」
「迷惑をかけてはいけない」
「嫌な思いをさせてはいけない」
そうした思いがあると、ほんの少しのズレでも、「自分はダメだ」という
評価につながってしまいます。
つまり、優しさそのものが問題なのではなく、
その優しさの向け方が偏っている状態なのです。
人には優しくできる。でも、自分には優しくできない。
他者の失敗には寛容なのに、
自分の失敗にはとても厳しい。
こうした状態が続くと、優しさは、次第に、自分を苦しめるものへと変わっていきます。
しかし、優しい人がこうなってしまうのは、その人が弱いからではありません。
むしろ逆で、これはこれまでの人生の中で、身に着けてきた「生きる力」でもあります。
人の気持ちを感じ取る力。
場の空気を読む力。
関係を壊さないように調整する力。
こうした力は、ある環境の中ではとても大切なものだったのです。
だからこそ、あなたはその力を使ってきた。
ただ、その結果として、自分を後回しにするクセが身についてしまった。
それだけのことです。
そして、もう一つ、見落とされがちなことがあります。
それは、
優しい人ほど「自分を責めることでバランスを取っている」
という側面があることです。
例えば、
「自分が悪い」と思っておいた方が、
人との関係が壊れずに済むことがあります。
自分が我慢すれば、その場は丸く収まる。
自分が引けば、相手は満足する。
そうやって関係を保ってきた経験があると、
自然と「自分を責める」という選択を取りやすくなります。
これは決して間違ったことではありません。
ただ、それをずっと続けていると、
どこかで自分がすり減っていきます。
そしてあるとき、理由の分からない苦しさとして表れてきます。
自分は他人には優しくできるのに、
自分には厳しくしているかもしれない。
そうやって少しだけ自分の状態に目を向けることも大切です。
それだけでも、少しずつ変化は始まります。
そして、自分にも同じ優しさを向けられるようになってほしい。
例えば、
誰かが同じことで悩んでいたら、
どんな言葉をかけるでしょうか。
「それはつらかったね」
「よく頑張ってるよ」
きっと、そんなふうに声をかけるのではないでしょうか。
その言葉を、自分にも向けていいのです。
優しさは、本来あなたの強さです。
ただその向きが、少し外側に偏っていただけ。
少しずつ、その優しさを自分にも向けていくことで、
苦しさの感じ方は変わっていきます。
あなたが苦しいのは、あなたが悪いからではありません。
これまでの中で身につけてきた優しさの使い方が、
今の状態を作っているだけです。
だからこそ、それは少しずつ見直していくことができます。
優しいままでいい。
ただ、自分にも優しくなっていい。
そのことを、忘れなくて大丈夫です。
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