なぜ人は自分を責めてしまうのか
自己否定の心理と、その背景にあるもの
「なんで私はいつもこんなにダメなんだろう」
「また同じ失敗をしてしまった」
「いつからこんな人生になってしまったんだろう」
気づけば、長年、ずっと、誰よりも自分を責めてしまっている。
頭では「そんなに自分を責めなくていい」と分かっていても、
なぜかその思考が止まらない。
そんな感覚を抱えたことはないでしょうか。
多くの人は、自分を責めてしまう理由を
「性格だから」「自分が弱いから」「自分が悪いから」と捉えがちです。
けれど実際には、
自己否定は単なる性格や気質ではなく、
これまでの経験の中で身に着いた”心の反応”であることが殆どです。
自己否定は「考え方のクセ」である
自己否定が強い人ほど、
ある共通した思考パターンを持っています。
それは、
「こうあるべき」
「こうでなければならない」
という考え方です。
例えば、
・自分一人で完璧にできなければ意味がない
・人を頼ってはいけない、人に迷惑をかけてはいけない
・失敗することは恥ずかしいこと
・期待に応えられない自分には価値がない
こうした思考が強いほど、少しのミスやズレでも、
「もう自分はダメだ」
という結論に結びつきやすくなります。
なぜこのような思考が生まれるのか
では、こうした思考はどこから来るのでしょうか。
その背景には、心理学的にも有名ですが、
子どもの頃の経験が影響していることがあります。
人は幼い頃、周囲の大人や環境を通して、
「自分とはどういう存在か」
という感覚を少しずつ作っていきます。
例えば、
・褒められることで「自分は価値がある」と感じる。
・受け入れられることで「ここに居ていい」と感じる。
一方で、
・否定や無視される経験が多い
・安心して甘えられる環境が少ない
そうした状況が続くと、
「自分はこのままでは受け入れられない」
という感覚が生まれやすくなります。
周囲の感情に敏感だった経験
自己否定が強い人の中には、
周囲の人の感情に敏感だったという特徴を持つ人も少なくありません。
・親の機嫌や顔色を気にしていた
・怒られないように振る舞っていた
・いつも、子どもながらに空気を読んで行動していた
このような環境では、自分の気持ちよりも
「相手がどう感じるか」
を優先することが当たり前になります。
その結果、
自分の感情を後回しにするクセが身についていきます。
そして、その延長線上に、
自分を責める思考が生まれていくことがあります。
思い込み(スキーマ)が自己否定を強める
心理学では、
私たちの考え方の土台となるものを
「スキーマ(思い込み)」と呼びます。
これは、今までの経験を通して作られた
「自分とはこういう存在だ」
「世界とはこういうものだ」
という前提のようなものです。
例えば、
・自分には価値がない
・人に嫌われたら終わり
・選択を間違えたり、失敗する自分はダメな人間だ
こうした思い込みは、
無意識のうちに繰り返されることで、
「それが当たり前」になっていきます。
そのため、何か出来事が起きた時も、
”スキーマ”に沿って解釈されるようになります。
同じ失敗でも、
Aさん:たまたまだな、こんなこともある
Bさん:やっぱり自分はだめだ
この違いは、出来事ではなく、
もともと持っている思い込みの違いによって生まれています。
認知の偏り(認知バイアス)も影響する
さらに、自己否定が強い人ほど
物事の見方に偏りが生まれやすくなります。
これを心理学では、「認知バイアス」と呼びます。
例えば、
・できたことよりもできなかったことに目がいく
・一度の失敗を「いつもそうだ、これからもそうだ」と捉える。
・他人の評価を過剰に気にする、他人と過剰に比較する
こうした偏りがあると、
現実以上に、「自分はダメだ」と感じやすくなるのです。
自己否定は「自分を守る反応」でもある
ここで、ひとつ大変なことがあります。
それは、
”自己否定は、単なる悪いものではない”ということです。
自己否定は時に、「これ以上傷つかないための防衛反応」として働いているとも
私は考えています。
・(人に指摘される前に)先に自分を否定しておく
・期待しないことで傷つかないようにする
つまり、自己否定は、自分を守るための方法でもあるのです。
だからこそ簡単には変えられない
多くの人が、
「自己否定をやめたい」
と思います。
しかし、実際には、”簡単に変えられない”ことが多いのです。
それは、
・長い時間をかけて身に着いたものだから
・自分を守る役割を持っているから
です。
誰かを責めるためではなく、理解するために
ここまで読んで、
「じゃあ、親のせいかのか」
と思う人もいるかもしれません。
しかし、この話は、誰かを責めるためのものではありません。
大切なのは、「なぜそうなったのか」理解することです。
理由が分かることで、自分への見方が変わる。
「自分が弱いから」「自分が悪いから」ではなく、
「そうならざるを得なかった背景があった」
と捉えるようになります。
自己否定から抜け出す第一歩
では、そうすればいいのでしょうか?
最初に必要なことは、”気づくこと”です。
・今、自分を責めている
・また同じ思考パターンになっている
そうやって、自分の思考に気づくこと。
それだけでも、少しずつ変化が生まれていきます。
あなたが悪いわけではない
最後に、一つだけお伝えしたいことがあります。
「あなたが悪いわけではありません」
これまでの経験の中で、度の考え方が必要だっただけなのです。
そして、それは少しずつ変えていくことが出来ます。
自己否定の奥には、必ず理由があります。
その理由を知ることが、
本来の自分を取り戻る第一歩になるのだと思います。
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